『アンノウン』は中年オヤジの夢を叶える映画?リーアム・ニーソンの痛快サスペンス

映画アンノウン

『アンノウン』は一筋縄ではいかない、二転三転する展開が魅力のアクションサスペンス映画だ。

そして、世のオヤジたちの願望を叶えられる映画であることにも触れていきたい。あらすじ・斬新な設定・演出などについて考察していきます!(完全ネタバレ)

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映画『アンノウン』の基本情報

タイトル:『アンノウン』 
公開年:2011年
監督:ジャウム・コレット=セラ 
主演:リーアム・ニーソン 
出演:ダイアン・クルーガー ジャニュアリー・ジョーンズ  
音楽:ジョン・オットマン
撮影:フラビオ・ラビアーノ
興行収入:130,786,397ドル

この映画の考察のために、まずはあらすじをネタバレありで振り返ってみよう。

主演は『96時間』で有名なリーアム・ニーソン。

監督:ジャウム・コレット=セラは『エスター』や『ロスト・バケーション』『トレイン・ミッション』などの完成度が高い作品をコンスタントに撮っているスペイン出身のダンディ男。

『アンノウン』のあらすじネタバレあり

ブレスラー教授にドイツの学会へ招かれたマーティン(リーアム・ニーソン)と、その妻エルザ(ジャニュアリー・ジョーンズ)。ホテルについたマーティンはブリーフケースを空港に忘れたことに気がつき、タクシーに乗るが事故で川に転落。タクシーの運転手ジーナ(ダイアン・クルーガー)は気絶したマーティンを助け、その場を去る。

4日間の昏睡状態のあと、病院で目が覚めたマーティン。ホテルへ行くと妻は自分のことを知らず、自分と同姓同名の夫までいた。マーティンは看護師から紹介されたユルゲンという元秘密警察の探偵に捜査を依頼。それからジーナを探し出すが何者かに銃撃され、二人で逃げる。

ユルゲンの情報で、生物学会のパーティーに出席する王子の命を狙った組織がいるとわかる。マーティンは自分が犯罪組織の一員でホテルに爆弾を仕掛けたことを思い出し、パーティー中のホテルへ向かった。

エルザたちはブレスラー教授の飢饉を救う新種のトウモロコシの情報を盗み出していた。マーティンは警備部長に爆弾があることを話し、会場がパニックになる。作戦の変更を余儀無くされたエルザは、自分に疑いが掛からないよう、仕掛けた爆弾の解除に失敗して死亡。マーティンはもう一人の自分を倒し、ジーナと新しい人生を始めることにした。

中年オヤジの夢を叶える『アンノウン』

アンノウンの主演リーアム・ニーソン

『アンノウン』は、世の中のオヤジたちの夢を叶えた映画だといえるだろう。

ストーリーをみると、主人公のマーティン(リーアム・ニーソン)はしがらみのある過去を捨て、ジーナという若い女性と新しい人生に踏み切ったのだ。

もっと端的に言えば、つまらない仕事は捨て、妻は死に、若い女性と・・・ということになる。

これは仕事や家庭生活に嫌気が指し、すべてを捨てて新しい人生を送ってみたいというオヤジの願望そのものではないだろうか?オヤジたちはリーアム・ニーソンを通じてそれを疑似体験することができたのだ。

『アンノウン』はだれでも楽しめるクオリティの高いサスペンス映画だが、特に中年オヤジたちは感情移入できたことだろう。

斬新な記憶喪失

映画アンノウンのリーアムニーソン

マーティン(リーアム・ニーソン)は、記憶を失う前と、思い出したあとでまったく別の人間になっている。

記憶喪失によって、暗殺集団の一員としての冷徹な意識が消え、すっかりいい人間になってしまった。この設定は斬新ではないだろうか?

普通の映画なら記憶が戻ったら元の人間性に戻るのだが、そのまま良い人間になってしまったという展開がとても面白い。ご都合主義かもしれないが、違和感もない。

音が驚きと恐怖を呼び起こす!

映画アンノウン

『アンノウン』はあの有名なサイコスリラー映画『エスター』と同じジャウム・コレット=セラ監督の作品。『エスター』は本当に衝撃的な怖さだったのだが、『アンノウン』でもこの監督の力量が遺憾無く発揮されている。

その仕掛けは単純で、大きな衝撃音が予想できないタイミングで入ってくるというもの。しかし、実際どこで衝撃音を入れるかとなると、センスや経験が必要になってくる。

『アンノウン』はアクション映画なのに、ホラー映画のようなビビり方をしてしまう。そんな自分が情けなくもあるのだが、ジャウム・コレット=セラ監督率いるスタッフの手腕が素晴らしいことの裏返しだと考えると、なんだかうれしくなる。

『アンノウン』のツッコミどころ

傑作アクションサスペンス『アンノウン』にもやはり小さな欠点はある。気になった部分をいくつか解説していく。

大事なカバンを忘れる暗殺者

完璧な暗殺者のはずのマーティン(リーアム・ニーソン)が、大事なカバンをタクシーに積み忘れるという設定に少し無理があるように感じる。こんなケアレスミスを犯すような人間なら、今まで生きてこれなかっただろう。

記憶が戻ってもいい人

記憶がだいぶ戻っているにも関わらず、良い人間でい続けるというのは少し都合が良すぎる気がする。記憶をほとんど失ってしまったなら、わからなくもないけど。

しかし、記憶をや感情を一部分だけずっと失ってしまう記憶喪失もあるかもしれないし、もしかすると主人公のマーティンは、暗殺稼業から足を洗いたいとずっと思っていたのかもしれない。

『アンノウン』のまとめ

『アンノウン』は斬新な設定と、ジャウム・コレット=セラ監督による衝撃音などの絶妙な演出、そして巧妙なストーリーでオヤジたちの夢を叶えてくれる傑作アクションサスペンス映画だ!

友達から「オススメの映画ない?」と聞かれたら、ぜひ『アンノウン』と答えよう!

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター/映画評論家/沖縄県在住のアラサー男子 誕生日は3月27日でクエンティン・タランティーノと一緒。 中学のとき、友だちに『シックス・センス』のネタバレをされトラウマに。バンドや作詞作曲活動も行っており、2019年は田港栄輝監督の『ストレプトカーパス(2020年公開予定)』という映画への出演と楽曲提供をしました。 傑作映画を求めて彷徨うムービーファントムであり、どんなジャンルにも食いつきます。“どのサイトにもない考察”を目指しており、その映画をもっと深く知りたいという人の手助けをするために日々奮闘しています。 好きな映画は『マルホランド・ドライブ』『ユージュアル・サスペクツ』『パルプ・フィクション』。好きな監督はデヴィッド・リンチ、マーティン・スコセッシ、クエンティン・タランティーノ。 【海外ドラマ】『ウォーキング・デッド』『ツイン・ピークス 』 【マンガ】『ジョジョの奇妙な冒険』『ハンター・ハンター』 【音楽】NIRVANA、プリンス、ブルーノ・マーズ