マルホランドドライブ(mulholland drive)を久しぶりに観直し、また新たな素晴らしい発見をすることができました!
鬼才デヴィッドリンチ監督の最高傑作にして難解と言われている作品ですが、考えれば考えるほど深みにハマって面白い!
マルホランド・ドライブ を繰り返し観た僕は、青いものをみると異様に反応してしまうように。これをリンチ病と命名(笑)
さて、「マルホランドドライブを観たけど、分からない点がいくつもあるんや!!」という方はいませんか!?
このページで一緒に謎解きの答え合わせをしてましょう!
ぶっちゃけ、繰り返してこの映画を観た僕には、どのサイトよりも詳しく”謎”を解いている自信があります☆
映画のテーマカラーに沿って、大事な部分は青色の文字で解説しますので、楽しんでいってください☆
まだマルホランド・ドライブを観てない人は、キャストや見どころの記事を読んでね!
マルホランドドライブが95点Sランク評価の理由
映画の各要素(10点満点中)
- ストーリー:10
- キャスト・演技:9
- テンポ:8
- 演技・シーン:10
- セリフ:10
- 映像:9
- 音楽:10
- 印象度:10
ストーリーは抽象的ですが、ある意味完璧な筋書きと言っても過言ではないと思います。テンポについても、場面がコロコロ変わるので全く飽きません。
キャストや演技についてはナオミ・ワッツやローラ・ハリングも、前半と後半で役のイメージをガラッと変えた表現ができています。シーンやセリフも印象的かつ衝撃的な見応えがある場面満載!バックで流れる音楽も最高!印象度も非常に高い映画です。
序盤・中盤・ラスト(5点満点)
- 序盤:5
- 中盤:4
- ラスト・結末:5
- 話の筋が通っているか:5
序盤のどうなるんだろうというワクワク感と、ラストでこういう事か!と騙された感は最高です!
マルホランド・ドライブは何点!?
各要素と、序盤・中盤・ラストの合計を100点満点とし計算しています。
合計95点 S+ランク!
僕が監修したサスペンス映画ランキングで堂々の1位となっております!!
マルホランドドライブあらすじ結末ネタバレあり!
ストーリー【中盤】
リタがウィンキーズの店員の名前を見て思い出した”ダイアン・セルウィン”という名前を電話帳で調べ、電話するベティ。
留守番電話から聴こえたのはリタの声ではなく、記憶喪失のリタが何者なのか結局わからずじまい。
2人はダイアンの住所を調べ家を訪ねてみると、ベッドに女性のものと思われる頭が崩れている腐乱死体があり愕然とする。
家に戻ったベティとリタは、遂に肉体関係を持つ。寝ていると深夜2時にリタがいきなりスペイン語で「楽団はいない」と叫びだし、ある場所に行かねばならないと言うので、2人は劇場”クラブ・シレンシオ”に向かう。
シレンシオの司会者も「楽団はいない」と叫んでいた。2人は悲壮な”泣き女”の歌を聴いて涙を流し、ベティはハンカチを取ろうとすると、カバンに”青い箱”が入っていることに気づく。
家に戻り、”青い鍵”を探している間に、突然ベティが消える。青い箱に鍵をさして回し、中を開けたリタさえも消える。
↓ここから現実↓
(現実)ダイアン→(夢)ベティ (現実)カミーラ→(夢)リタ アダム→現実でも夢でも監督
”黄色いカウボーイ”が「Wake up」と囁くと、死体があったベッドの上で女性が目覚める。
名前はダイアン(ナオミ・ワッツ)(姿はベティ)。部屋のテーブルには青い鍵が。
現実の過去(回想)【終盤】
現実でダイアンは売れない女優。同じ女優であったカミーラ(ローラ・ハリング)(夢ではリタ)は恋人だが、カミーラはダイアンと違って成功している。
ダイアンとカミーラは恋人同士だが、カミーラがダイアンとの関係を解消したいと言い、アダム監督との結婚を発表。ダイアンは夢も恋も失い憎しみに駆られ、殺し屋にカミーラの暗殺を依頼。
青い鍵は殺し屋がカミーラ殺しを成功させた合図。
再び現実【悲しいラストへ】
ダイアンは現実に絶望し、妄想からか、ウィンキーズの裏側で”黒い男”が”青い箱”を弄んだ後、ゴミ袋に捨てている映像が浮かぶ。捨てられた箱の中から高笑いする老夫婦が出て来て、部屋を激しくノックする音が!扉の下から老夫婦が這い出し、ダイアンに迫る。
すべてを失ったと悟ったダイアンはベッドの上で拳銃自殺。
硝煙の後、黒い男、クラブ・シレンシオ、ダイアンとカミーラの二人の笑顔などの情景が浮かぶ。END
マルホランドドライブのテーマを考察!
デヴィッド・リンチ監督は、「作品で言いたいことを全部詰め込んで表現できているから、テーマの解説はしない主義!」らしいっす。
でもまあマルホランド・ドライブはそれなりにテーマ性がはっきりしている映画なので、僕が作品を観て感じたテーマを紹介していきます。
1 華やかなハリウッドの裏側
アダム監督にプレッシャーを掛けるマフィアのせいで、キャストは自由にできない。監督の性格はめちゃくちゃ。良い新人が良い映画に出られない。昔の時代をバカにする。などのシーンがふんだんに盛りこまれています。
このような描写から、ダイアンのような夢を追いかける人々を待ち受けるハリウッドの不条理というてテーマが一つあると思います。
もしやリンチ監督自身のわだかまりを表現しているのではないか?と思える描写がたくさんあります!
2 夢の現実との繋がり
現実世界での願望が夢だとどう表現されるか?ということが前半部分でシニカルに描かれています。
ブルーの箱は現実、ブルーの鍵は事件を現すなど、象徴的なことやダイアンの思いつきが、具体的な”物”や”人物”として表現されてます。
前半のダイアンの夢部分では〇〇だったものが、後半の現実では〇〇だとわかる!など発見的な解釈が楽しめるのです!
3 LGBTについて
作品では女性同士のダイアンとカミーラが恋人関係にあるので、LGBTの人々が抱える問題も表現していると思います。(ちなみにLGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略で、性的にマイノリティな人々を指します。)
カミーラはダイアンと肉体関係を持っていますが、作中のアダム監督(男)と結婚し、ダイアンから恨まれることになります。また、カミーラは他の女性と関係を持っているような素振りもみられます。
つまり、カミーラはバイセクシャルであり、性的にオープンなタイプ。ダイアンはレズビアンであり一途、
同じように見えて実はそれぞれ考え方が異なるのです。
LGBTにも様々なタイプがあり、それぞれ抱える問題も違うということですね。マルホランド・ドライブは性的にマイノリティな人々を一括りにしてはいけないと教えてくれる映画でもあるのです。
マルホランドドライブ公式10個のヒント
マルホランド・ドライブにはデヴィッド・リンチ監督によって公開前に提示されていた10個のヒントがあります。それぞれ解説していきます。
映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。
https://gfycat.com/heftyolddinosaur
冒頭はダイアンが優勝したジルバのダンス大会です。一緒に写っているあの老夫婦は、ダイアンの両親を表しているとも考えられますが、ベティと空港で別れた後にリムジンで笑っていたり、ラストもダイアンに向かって笑いながら迫ってきたので、期待だけしてダメならすぐバカにする世間の象徴ともとれます。
赤いランプに注目せよ。
赤いランプはダイアンの家にあり、その側に電話もあります。前半の「The girl is missing(彼女はまだ見つかっていない)」の電話数珠つなぎの最後の電話と、ベティとリタがダイアンの家へ電話をかけるシーンは、ダイアンの家の赤いランプの側の電話に繋がっているとわかります。
アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは? そのタイトルは再度誰かが言及するか?
シルヴィア・ノース物語だと思われます。アダムの家のパーティーでココが言及します。ダイアンは自分が選ばれていればという願望があったのでしょう。
事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ
夢で事故が起きた場所はマルホランド・ドライブ !ダイアンがアダムとカミーラの婚約パーティーに向かうときに止まった場所です。そう、ダイアンはマルホランド・ドライブのアダム邸で行われた婚約発表で全てを失ったと感じたので、夢の中では同じ場所でリタが交通事故に遭うのです。
ダイアンの夢の中で、自分とカミーラを混同している、ダイアンとカミーラに”違い”はないと示しているのです。
誰が鍵をくれたのか? なぜ?
青い箱の中を現実と考えると、鍵は現実に繋がる道具と考えるのが自然です。
現実世界で鍵を持っていたのは、殺し屋。夢で鍵を持ていたのはリタなので、カミーラを殺した銃弾や殺意を暗示しています。
バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ
バスローブ
ダイアンが後半にバスローブを着ているシーンが現時点での出来事。それ以外は回想です。他にも最後にバスローブを着て自殺したにも関わらず、ベティとリタが見た死体は黒いドレスを着ていたという違いも示しています。
灰皿
ピアノの灰皿がテーブルにあるときは回想、ないときは現時点での出来事を表しています。
コーヒーカップ
一番注目するべきものは茶色いコーヒーカップです。茶色いコーヒーカップは夢と現実のウィンキーズ、ダイアンの家で出てきます。ダイアンが夢ではベティという名前になっていることから、もしかするとダイアンは以前ウィンキーズで働いていてコーヒーカップを持って帰ったのかもしれません。
クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
泣き女の歌詞は現実でのダイアンのカミーラに対する悲哀です。それを聞いて2人とも涙しますが、大泣きしているのはむしろリタの方。カミーラも自分と離れて悲しいだろうという満足感と、これほど悲しい結末なら終わらせなければならない!二人で死のうという感情が青い箱を登場させるのです。
カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
夢で、”カミーラ・ローズ”を主役にしろとマフィアたちがアダム監督に脅しをかける場面があるので、現実でも、ダイアンはカミーラの成功を疑問に感じる出来事があったのでしょう。
アダム監督の家のパーティーでの「ルイジとカサブランカには?(出演している)」というココの質問で、ダイアンがアダムを睨み、カミーラもその話題に触れて欲しくないという素振りだったので、”ルイジとカサブランカ”という映画でカミーラが主役を射止めたのは、実力以外の理由があったということも考えられます。
Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
黒い男は、ダイアン自身(の慣れの果て)。華やかなハリウッドの裏側や亡霊を表しています。
ルース叔母さんはどこにいる?
夢で叔母は「カナダで撮影」といっていたのですが、空港や、ダイアンの家で叔母らしき人物が写っていること、冒頭のダンスを踊っているうちの一人の腕輪が、叔母が家から鍵を取るときにしていたものと同じなので、常にダイアンの側にいたと考えることもできます。
マルホランド・ドライブの謎解きの道具!
既出の10個のヒント以外の謎解きの道具となるものをピックアップしてみました。
サンセット大通りの標識
冒頭でリタが記憶喪失でフラフラのまま道路を横切る場面がありますが、サンセット大通りという道路標識が映ります。
ハリウッドの悲劇を死んだ人物の語り調で描いた、「サンセット大通り」のオマージュ的な部分があることを示しています。
青い箱
ダイアンがクラブ・シレンシオで手に入れた青い真四角のボックス。後半に黒い男が持っているシーンがあります。
モザイク柄の灰皿
ダイアンの現実の家にあるもので、この灰皿のそばに電話と赤いランプがあります。
ピアノの灰皿
ダイアンの家にあるピアノの灰皿を隣人が持っていくシーンがあるので、灰皿があるシーンはそれより過去だとわかります。
ウィンキーズの窓の張り紙の色
奥側の席の張り紙が緑であれば、それはダイアンの夢。黄色であれば現実であると考えられます。
マルホランドドライブをシーン別考察
ダイアンが目を覚ますより前の描写がダイアンの夢だとすると、
ダイアンの現実での願望が、夢でどのように書き換えられているか?
という方向で考えるのが自然だと思いますので、そのように解説していきます。
マルホランド・ドライブでの事故は?
リタの暗殺が事故でパアになった。リタは生きていて、記憶も失って自分に助けを求めて欲しい!というダイアンのマウント願望です。他にもベティがオーディションのためにセリフ棒読みのリタを練習相手にするシーンがありますが、これもまさにカミーラより上に立ちたいというダイアンの願望の表れでしょう。
殺し屋が友達を殺した理由は?マヌケな理由
カーアクシデントを起こしたのは殺し屋の友達なので、殺す計画がパアになったという感情と、リタを傷つけた恨みが重なったのでしょう。
殺し屋がマヌケなのは、現実世界でカミーラ殺しが失敗してほしい!という感情の表れです。
ウィンキーズ(レストラン)にいた男2人は?
物語前半、Winkies(ウィンキーズ)というレストランで食事をしていた男二人組。
うち一人のダンは「2度みた夢でこのウィンキーズの裏手に黒い男がいて怖かった!」と話し出します。
それを確かめるために、2人は店の裏手に回ると夢の”黒い男”に出くわすというシーンがあります。(コーヒー、ベーコンエッグ、オレンジジュースを二人とも食べてますが、ダンは手をつけている様子がありません。二人が店から出るとき、コーヒーカップがなぜか裏返しで置かれています。)
現実にダイアンが店で殺しを依頼するときにダンを見かけているのでそれが夢でも出てきたのでしょう。
映像でダンが座った位置は入口側。ダイアンが現実で座っている場所を見つめることができ、さらに店の裏手に体が向いていると捉えることができます。
ダイアンが夢の中で、自分に悪意があることを認めたくなかったが、結局はドス黒いものがあったということを表現しているのだと思います。
ちなみに、ダイアンは英語表記だとDiane、ダンは英語表記でDanという点も、ダンがダイアンの恐怖を表現している説明だとおもいます。
序盤の電話 数珠繋ぎは
序盤で、
広い部屋の椅子に座った小男(マフィアのボス)→教会の男→黄色い電話の男→赤いランプとモザイク柄灰皿のそばの電話(誰も取らない)
というシーンがありますが、リタが自動車事故に遭ったが行方不明なだけで生きている→カミーラは殺されずに生きていると、現実世界の自分に知らせる願望の電話だととれます。
この電話の男達は、”アダムの家に向かっていて、主役が決まりかけていたリタ”を暗殺しようとしており、最後の電話がダイアンの部屋だったことから、殺し依頼の発端はダイアンであり、リタ(カミーラ)に対する憎しみも表しています。
憎んでるけど、まだ生きている、電話はそんな複雑な感情の表れなのです。
黒い男の正体は?
ウィンキーズの裏手に住んでいる、黒い男は2つのものを象徴しています。
①成功や繁栄などの裏側にある失意や犠牲、恨み
焚き火をしているホームレスの様な描写があるので、失敗や金のなさ、失意などを表していると思えます。
ネイティブ・アメリカンのような雰囲気もありますので、ハリウッドに象徴されるアメリカという国の裏で虐げられてきたネイティブ・アメリカンも表現している可能性もあります。
②ダイアン自身
クラブ・シレンシオでベティがハンカチをカバンから取り出そうとして、ブルー・ボックスが入っていることに気がつくわけですが、黒い男もブルー・ボックスを持っているシーンがあるので、黒い男はダイアン自身と考えることができます。
アダムが夢で不倫や脅しなど散々な目にあう理由
これはカミーラを奪ったアダムに対するダイアンの恨みが、夢でマフィアに脅され自分の映画の主役を選べない、妻は家で浮気、銀行の残高ゼロ、カウボーイにも脅されるという散々な目の原因になっているのです。分かりやすいですね。
さらに、場所にも注目してください!不倫はダイアンが絶望したアダムの邸宅で”堂々と”おこなわれていました。アダムとカミーラの婚約による絶望と、夢の不倫は同じ場所で起こったものであり、シンクロしているのです。
夢でベティがダイアンに電話するシーン
ベティがダイアン・セルウィンに電話すると、後半のダイアンの家の留守電と同じ「Hello,It’s me.Leave a message.」という同じ音声が流れるので、電話は現実と近いと考えられます。
カウボーイの正体は?
腐乱死体に話しかけていることから、死神と考えるのが妥当でしょう。死神は2回起こしにくるので、死んだダイアンとカミーラ両方を、理想の夢から引き戻しているのかもしれません。
アダムとベティが見つめ合うシーン
夢でアダム監督が理不尽なマフィアによって、カミーラという女性を主役に抜擢しようとする場面で、アダムとベティが見つめ合うシーンがありますが、現実でのアダム邸でのシーンが起因になっているとおもいます。
後半にアダムとカミーラの婚約発表会に、ダイアンが遅れてきたことを謝るシーンがあります。このシーンは、今となってはもう遅いが、もしも、ダイアンがカミーラより先にアダムにみそめられていたら成功できたのではないか?という疑問ともとれます。
クラブ・シレンシオとは!?
クラブ・シレンシオはダイアンの部屋のことです。
ラストでダイアンの部屋が暗転してクラブ・シレンシオに変わる場面がありますが、ベッドの赤色がそのままシレンシオのカーテン、クラブ・シレンシオでの青い光と、ラストの稲妻の青い光が同じ、ベッドの柱の位置にマイクがあるなどの類似点から、そのように捉えることができます。
クラブ・シレンシオで”泣き女”の歌声でリタが号泣するシーンがありますが、歌詞の内容が現実世界でダイアンのカミーラに対する境遇と似通っていることからも、自分のベッドで泣いているダイアンを表現しているといえます。
リムジンが止まった場所
冒頭で運転手が車を止める場所、ダイアンがカミーラの家に行くときに車で止まる場所。
マルホランド・ドライブの同じ場所であり、現実との距離が近い結節点であるといえます。
近道
映画監督のアダムの家に行く近道を、ダイアンはカミーラの先導で歩きます。
行き着いた先は自分と関係ない人々が集うアダムとカミーラの結婚パーティ。ここでダイアンは裏切られたと涙して、カミーラの暗殺をウィンキーズで依頼するという場面に切り替わります。
二人で歩いた近道は、二人の関係性の比喩です。
青い箱と鍵は何を表す?
この映画の最大の焦点がこの青い箱なので、他の謎と分けて考えます。
青い箱が出てくるシーンは2つ
1、クラブ・シレンシアで箱を見つけ、家に戻るとまずベティが消え、箱を開けるとリタも箱に吸い込まれて消えるというシーン。
2、黒い男が箱を弄って、ゴミ袋に入れるシーン。
1のシーンの後に目覚めるので青い箱は現実を表しいているととれます。
黒い男が箱を弄ってゴミ袋に入れるので、ダイアンは現実などゴミだ!と感じているのでしょう。
青い鍵は?
青い鍵については公式の10個の謎のところでも説明しましたが、現実では殺し屋、夢ではリタが持っているので、銃弾(殺意の象徴)だといえるでしょう。夢でリタが鍵を持っているのは死を表しています。怖いですね。
ダイアン死→夢ではリタ!メビウス構造をイラストで!
なぜマルホランド・ドライブがメビウスの輪のような映画だと言われているのか?観終わった後のあの不思議な感覚は何なのか?
答えはズバリ、ダイアン死→夢でリタになる!という視点で感情移入して観ることになるから!
映画では、ダイアンの夢にもかかわらずリタが最初に出てきて事故に遭い記憶喪失になります。
可哀想なリタに感情移入し、リタの気持ちで前半部分を観るわけです(約2時間も)。しかし、後半では現実のダイアン視点で物語が進み、奇妙な感覚に陥るのです。
なぜならこのとき、
- 観ている人の視点がリタからダイアンへ
- 夢から現実へ
- 時間が戻る
3つのことが一気に起こり、メビウスの輪にはまった感覚になれるのです。素晴らしい!!!!一気に3つの変化を仕込むなんて凄すぎる!
メビウスの輪になっていることを証明するため解説イラストも作りました!
※数字はダイアンの意識の時系列
死神カウボーイが腐乱死体を起こしたあと、ダイアンが現実で隣人のノックで起こされたシーンになることもループ構造を説明する上で重要です。
上のイラストでいうと作中では15番から4番に進み、ここでループ感覚が完成するのです。
夢リタ→現実ダイアンをループしている奇妙な感覚にまんまと嵌められています。
ここまでくると、もはや単なる”ダイアンの夢”でなく、メビウスの輪が作り出したもう一つのパラレル・ワールドという考え方もできますね!デヴィッド・リンチ最高!
腐乱死体は誰のもの!?
さらに、リタとベティが腐乱死体を見たとき、あからさまに驚いていたのはリタであり、黒い服はその後リタがクラブ・シレンシオで着ていたもの、髪は金髪に見えますがどこか不自然です。カツラを被ったリタではないでしょうか?
注意深く観てないと、腐乱死体はダイアンだと思うはずです。
死体を観た後に、リタが髪を切り、金髪のカツラ被るというシーンがあります。2人の存在は入れ替えることができるというメッセージと共に、腐乱死体が誰か?という謎を解きにくくするためのトリックでもあったのです。
夢について深掘り
最初から夢を持ってきたというところがマルホランド・ドライブの特徴であり、夢の中の出来事がずっと続くので観る人が混乱しやすくなるのだとわかります。
時系列はそれほど複雑ではないですが、プラスして夢と現実、リタ側とダイアン側で視点が入れ替わるという要素が入ってくるので、訳がわからなくなるのです。
さらに夢についても疑問が出てきます。
夢を見たのは誰?
誰が夢を見ていたのか?
ダイアン説が有力ですが
逆にカミーラの夢ということもできます。
夢を見ていたのはどのタイミング?
ダイアンの夢と捉える場合は、
- 自殺直後
- 隣人にノックで起こされる前
ダイアンの夢の場合、死後の夢から→隣人にノックで起こされる前の夢に繋がるという、恐ろしい”ループ説”も考えることができます。死神の罰でしょうか?
カミーラの夢と捉える場合は
- カミーラが殺された直後
- 死体になって夢を見ている
また、死に神が2回起こしにくるので、死んでいるカミーラとダイアンの夢が繋がっている可能性もあります。
夢と死体が誰のものか?いろんなパターンを考えよう
夢と死体が誰のものか、自分なりの意見はあるはずですが、夢がカミーラのものだったとしたら?など、夢ひとつとっても様々なパターンを想像でき、さらに整合性が取れるのがマルホランド・ドライブのすごさでもあります。
いろんなパターンを想像して楽しんでください!
ダイアンとカミーラの存在は入れ替え可能
マルホランド・ドライブ ではダイアンとカミーラは、さまざまな場面で入れ替えて観ることが可能です。
リタとベティが観た腐乱死体はダイアンかカミーラか?
成功したのはカミーラでなく、ダイアンであっても不思議はないのではないか?
死体を見た後に、リタがベティに姿を似せて喜んでいる。
これらの描写から、ダイアンとカミーラは似たような存在であると視聴者に理解させ、結果として、最初の夢や腐乱死体はダイアンのものでもカミーラのものであっても、どちらでも観ている人が好きなように解釈できるような構造になっているのです。
泣き女の歌 アーティストは?
クラブシレンシオで女性が歌っていたアカペラの曲(口パク設定だが)が耳に残って離れないというのは僕だけではあるまい。
この曲はRoy Orbison(ロイ・オービソン)が歌う「Crying(クライング)」という曲を、レベッカ・デル・リオという女性アーティストがスペイン語で歌ったもの。
能書きはこれくらいにして、彼女の素晴らしく、そして独創的な歌声をもう一度聴いてくれ!
ナオミ・ワッツはダイアンそのもの?
今ではすっかり有名なナオミ・ワッツですが、マルホランド・ドライブでブレイクして有名になったそうです。
女優として活動し始めて、鳴かず飛ばずが10年以上続いていたナオミ・ワッツと、映画の中のダイアンは重なる部分が多いどころか、ナオミの当時の心境はダイアンそのものだったのかもしれません。
映画でその気迫が見てとれます。
マルホランド・ドライブまとめ
マルホランド・ドライブは不条理・夢・現実・過去・幻想・回想・嫉妬・憎悪が、時間軸別々に映像化されたすごい映画だとお分かりいただけたと思います。
偉そうに説明しましたが、僕の解説はあくまで”一例”であり、デヴィッド・リンチ監督が言うように”直感を信じたあなた流の理解”をする手助けになれば幸いです。
僕の大まかな結論としては、夢はダイアンのもの、夢の腐乱死体はカミーラのもの!です。
何度観ても面白いし、みんなでディスカッションできるタイプの映画って素晴らしいですよね!!
マルホランド・ドライブについて見識が深い方、ぜひ、コメントやツイッターで絡むなどしてほしいです。
むしろ僕にマルホランド・ドライブのことをもっと深く教えてくれる人を待ってます!